株式会社エムティーアイ

GAITで公平性高い人事評価を実現、技術者の自己啓発にも期待

「music.jp」や「ルナルナ」等のモバイルコンテンツ配信で知られる株式会社エムティーアイ。同社では技術者に対する人事評価の公平感を高めるために、GAITの導入を決定した。2012年秋から活用をスタートし、以降は年2回の人事評価に合わせて、継続的にGAIT受験を実施していく予定だ。導入の決め手になったポイントや、GAIT活用計画について話を聞いた。

  • 本社所在地
    東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー35F
  • 資本金
    2,562百万円(2013年3月31日現在)
  • 従業員数
    802名(連結・2013年3月31日現在)
  • 事業内容
    モバイルコンテンツ配信事業、スマートフォンソリューション事業
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公平感のある人事評価を行うには、定量化されたデジタルなスキル評価が必要です(小島氏)

IT技術者のやる気を引き出し、パフォーマンスを最大化するためには、公平感のある人事評価の実現が重要だ。しかし開発や運用の現場は複数の技術者が役割を分担し、チームワークで動くのが一般的である。このような状況の中で“被評価者が納得できる基準”を確立するには、どうすればいいのだろうか。

この答えとして、GAIT活用を進めるのが、株式会社エムティーアイ(以下、MTI)である。同社は「music.jp」や「ルナルナ」等で知られるモバイルコンテンツ配信企業。緻密なマーケティングリサーチと高品質なコンテンツ制作体制、そして最先端の技術基盤によって、顧客が求めるサービスをスピーディに提供し続けている。また、この分野の先駆者としての経験を活かし、企業のスマートフォンサイトの開発・運営も支援している。

Infrastructure and Information Center
上席執行役員 CIO センター長
小島 勝見 氏
ITサポートオフィス
部長
濱崎 豊 氏
ITサポートオフィス
アシスタントマネージャー
佐藤 匠 氏

公平感ある人事評価には、デジタルなスキル評価が必要です

ベンダー資格は数が多すぎて公平な基準を作ることが難しく、独自開発は労力がかかりすぎるという問題がありました(佐藤氏)

「公平感のある人事評価を行うには、定量化されたデジタルなスキル評価が必要です」。こう説明するのは、上席執行役員 CIOの小島勝見(こじま・かつみ)氏だ。以前のMTIでは上司との面談やアンケート、実績などに基づいた人事評価が中心だった。ここに定量的なスキル評価テストを導入するため、2011年秋から調査を進めてきたと言う。

その一方で「社内の技術者がどの分野でどの程度のスキルを持っているのかを把握し、ベースラインを平準化することも重要な課題でした」と語るのは、ITサポートオフィス 部長の濱崎豊(はまさき・ゆたか)氏である。異なる分野の技術者同士がコラボレーションを行い、組織全体の業務効率を高めていくには、専門分野以外の知識も一定レベル以上持っていることが不可欠なのだと言う。

当初はベンダー資格の活用や、独自の評価テスト開発も考えた。しかし「ベンダー資格は数が多すぎて公平な基準を作ることが難しく、独自開発は労力がかかりすぎるという問題がありました」と、ITサポートオフィス アシスタントマネージャーの佐藤匠(さとう・たくみ)氏は振り返る。そこで着目したのがGAITだった。2012年7月に検討を開始し、8月には試験的にテストを実施。8月中旬には導入を決定した。GAIT導入に際し、MTIが独自に実施する予定だった評価テストもGAITのシステムを利用することにした。「当社が作成する試験問題もGAITのシステムを活用させてもらうことで、評価の効率を高められるのでは、という狙いがありました」(佐藤氏)。

まずMTI社内で約1週間かけて、アジャイル開発やITIL関連など追加すべき問題群を作成。これを日本サード・パーティが数日で、GAITのシステムに組み込み、MTIが検証する。こうして追加された問題数は、10項目、計140問。「日本サード・パーティは様々な形で我々の人事評価システムの設計を支援してくれました。しかも、対応はいつもスピーディでしたね」(佐藤氏)。

今後もGAITを継続受験し年2回の人事評価に反映していく計画です

9月には第1回のテストを実施。受験者数は約190名に上った。MTIでは技術者の人事評価は能力評価(テクニカル、ビジネス、マネジメント)が多くを占めるが、なかでも最重要項目と位置づけるテクニカルスキルの査定にGAITの結果が反映されている。

「自力でテストを開発していたら、このタイミングでの実施は不可能だったでしょうね」と佐藤氏。膨大な問題作成だけでなく、評価に必要な閾値の設定もしなければならないからだ。「GAITの採用によって、スキルの定量化を最小限の労力で実現できました。今後も年2回の人事評価に合わせて、GAITを継続的に実施する計画です」。

GAIT採用の効果はスキルの定量化だけではない。不足しているスキルの見える化効果も、大きなメリットだと濱崎氏は指摘する。「会社が実施する教育プログラムだけでは、必要なスキルすべてをカバーすることはできません。GAITの結果は自己啓発のきっかけにもなると期待しています」。また小島氏は「技術者のレベルを社内だけではなく、業界全体と比較できるのもいいですね」と指摘する。この特性を利用すれば、中途採用時のスキルチェックや、パートナー企業の評価にも活かせるはずだと言う。

MTIでは社内に技術者データベースを構築しているが、今後はその内容にGAITの結果を反映することを検討している。さらには、今回作成した独自問題を改善し、評価の公平感を継続的に高めることも検討中だ。「そのためには問題作成や評価方法に関するさらなるノウハウが必要です」と小島氏。「日本サード・パーティにはこれからも手厚い支援をお願いしたいですね」。

※今回お話を聞かせていただいた方々の社名並びに所属並びに役職は、取材当時のものです。