KDDI株式会社

技術力の”見える化”にGAIT活用、業界平均との比較レポートも評価

移動通信・固定通信の両方を併せ持つ総合通信事業者として、時代をリードし続けるKDDI株式会社。同社では技術者の知識レベルを“見える化”するため、GAITの活用を始めた。採用の決め手は、基礎知識を幅広くカバーした問題と、定量的な得点が得られること。また業界平均と比較できるレポートも評価する。今後も受験対象者を増やし、技術力の底上げに活かすことを目指す。

  • 本社所在地
    〒102-8460 東京都千代田区飯田橋3-10-10 ガーデンエアタワー
  • 資本金
    141,851百万円
  • 従業員数
    19,680人(連結・2012年3月31日現在)
  • 事業内容
    電気通信事業
  • URL
私どものサービスはライフラインの1つなので、常に安定した技術を確実に提供する必要があります。そのためにはアウトソースを行う場合でも、活用する技術の内容をきちんと理解し、委託先と的確なコミュニケーションを行えるスキルが求められます。このようなスキルを社内に蓄積する上で、GAITで得られた定量データは、重要な役割を果たすと期待しています(石倉氏)

情報通信技術の進歩に伴い、技術者に求められる能力も多様化している。このような状況に対応できる技術者を育成するには、それぞれの技術者がどの分野に強いのか、そしてどの分野が苦手なのか、きちんと“見える化”しなければならない。弱点を把握しなければ、それを補強するための育成プログラムも立案できないからだ。

この課題に対応する1つのアプローチとして、GAIT活用を始めているのがKDDI株式会社である。同社には複数の技術部門があるが、その1つ「プラットフォーム開発本部」で、GAITが導入されている。「会社としては社員の技術力向上のため、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の情報処理技術者試験の受験やベンダー資格の取得を推奨していますが、会社側が主導する形でテストを実施したのはGAITが初めてです」と言うのは、プラットフォーム技術部長の石倉 雅巳氏。その最大の理由は、TOEICのように定量的な得点が出るところに魅力を感じたからだと説明する。「このようなテストは他にありません。これなら技術力の見える化に活用できると考えたのです」。

技術統括本部
プラットフォーム開発本部
プラットフォーム技術部長
石倉 雅巳 氏
プラットフォーム開発本部
プラットフォーム技術部
統括グループリーダー 担当部長
本田 俊昭 氏

技術力を定量的に測れるのが魅力
他にはないテストです

プラットフォーム技術部が最初に行ったのは、少人数でトライアル受験を行い、その結果を評価することだった。代表者4人を選定し、2012年10月に実施。その結果「GAITは技術者の技術力を適切に評価できる」と判断したという。

これを受け、同年12月には受験者数を本部内49人に増やした。社内に受験用の部屋を用意し、ネットワーク接続されたPCを設置、受験者を入れ替えながら対応したのである。

この受験方法について「GAITはネットワークにつながるPCさえあれば自席でも受験できますが、やはり集中して受けてもらうには周囲から隔離された環境で行うのがいいと考えました」と説明するのは、プラットフォーム技術部 統括グループ 主任の小澤 里江子氏。GAITはランダムに問題が変わるため、全員同時に受験できる広い部屋を確保する必要はない。そのため準備は難しくなかったという。プラットフォーム技術部で統括グループリーダー 担当部長を務める本田 俊昭氏も「実施までのプロセスはスムーズでしたね」と振り返る。

GAITなら業界内の立ち位置も把握できます

52分で132問というハイペースで解答しなければならないため、耳学問だけではついていけません。内容も様々な問題が幅広くカバーされており、共通して持つべき知識をどれだけ身につけているか、判断しやすいと感じました(石倉氏)

それでは試験内容に関しては、どう評価しているのか。実際にGAITを受けた石倉氏は「52分で132問というハイペースで解答しなければならないため、耳学問だけではついていけません。内容も様々な問題が幅広くカバーされており、共通して持つべき知識をどれだけ身につけているか、判断しやすいと感じました」と評価する。

受験者の得点はその場で分かり、一緒に受験した社員の平均値との比較や、業種ごとの平均値との比較も、後日レポートとして入手できる。

「私どもは、常に自分達の手だけでシステムを作ったり、コーディングを行うわけではありません」と石倉氏。実際には社外のベンダーと協力してシステムを構築することが多く、KDDIはそのための企画や仕様書を作成する立場だと説明する。そのため、様々な業種が含まれるGAIT全受験者の平均と比較するのではなく、他の通信事業者やネットワークベンダーとの比較が欲しい。GAITならこのような要望にも対応できるのだ。そしてその結果は十分に満足いくものだったという。これまでの受験者は、プラットフォーム開発本部の部員のうち選抜された53名だったが、全体として業界平均を上回っていた。「これで自分たちの立ち位置がはっきりと分かりました。業界平均を超えていたこともひと安心です」。

今後は、先に受験した53名を含めた本部内全員の受験を、年度内を目標に実施する計画だ。その後は、年に1回程度のペースで継続的にGAITを活用していくことが検討されている。またすでに他の技術部門にもGAITを紹介しており、社内での活用がさらに広がる可能性もあると言う。

「技術力の底上げは数年来の課題でしたが、GAITはそのための指標となるはずです」と石倉氏。知識のレベルをフィールド別、カテゴリ別に定量化できるため、技術教育プログラムの立案にも活かせるはずだと指摘する。

「私どものサービスはライフラインの1つなので、常に安定した技術を確実に提供する必要があります。そのためにはアウトソースを行う場合でも、活用する技術の内容をきちんと理解し、委託先と的確なコミュニケーションを行えるスキルが求められます。このようなスキルを社内に蓄積する上で、GAITで得られた定量データは、重要な役割を果たすと期待しています」。

※今回お話を聞かせていただいた方々の社名並びに所属並びに役職は、取材当時のものです。